「以前」と「以降」の違いは?その日を含むか・使い分けを例文で解説

「以前」と「以降」は、日付や期限を示すときによく使われる言葉です。
「9月14日以前」と「9月14日以降」では、どこまでが範囲になるのか、9月14日
「そのものを含むのか」
迷うこともあるでしょう。
結論からいえば、どちらも基準となる日を含み、「以前」はその日から前、「以降」はその日から後を表します。
ただし、「より前」「より後」などに言い換えると、基準日を含むかどうかが変わるため注意が必要です。
この記事では、「以前」と「以降」の意味と違い、その日を含む範囲、使い分け、「以後」との違いまで具体例を使ってわかりやすく解説します。
「以前」と「以降」の違いは?
「以前」と「以降」の違いは、基準となる時点から見て、前を表すか後を表すかです。
「以前」は、基準となる日や時点を含めて、それより前の範囲を表します。
一方、「以降」は、基準となる日や時点を含めて、それより後の範囲を表します。
たとえば、「9月14日以前」と「9月14日以降」では、どちらも9月14日を含みますが、示す時間の方向が反対になります。
「以前」は基準となる時点から前を表す
「以前」は、ある日付や時点を基準として、それを含めた前の範囲を表します。
たとえば、
「9月14日以前に申し込んでください。」
という場合は、9月14日も含めて、それより前の日が対象です。
同じように、
「2020年以前に発売された商品」
なら、2020年を含めて、それより前に発売された商品を表します。
「以前」は、基準となる時点を含めて前へ広がる範囲と考えるとわかりやすいでしょう。
「以降」は基準となる時点から後を表す
「以降」は、ある日付や時点を基準として、それを含めた後の範囲を表します。
たとえば、
「9月14日以降に申し込んでください。」
なら、9月14日も含めて、それより後の日が対象です。
また、
「2020年以降に発売された商品」
なら、2020年を含めて、それより後に発売された商品を表します。
「以降」は、基準となる時点を含めて後へ広がる範囲です。
「以前」と「以降」は時間の方向が反対
両者を並べると違いがよくわかります。
| 表現 | 基準となる日を含む? | 示す方向 |
|---|---|---|
| 9月14日以前 | 含む | 9月14日から前 |
| 9月14日以降 | 含む | 9月14日から後 |
つまり、
以前=基準日を含めて前
以降=基準日を含めて後
という関係です。
基準日を含むかどうかではなく、どちらの方向へ範囲が広がるかが両者の違いです。
「以前」と「以降」はどちらも基準日を含む
ここは特に間違いやすいポイントです。
「以前」は「前」という字が入っているため、基準となる日を含まないように感じることがあります。
しかし、
「9月14日以前」
には9月14日が含まれます。
同じように、
「9月14日以降」
にも9月14日が含まれます。
つまり、基準となる日は両方の範囲に入ります。
「9月14日より前」と「9月14日以前」は同じではありません。
また、「9月14日より後」と「9月14日以降」も同じではありません。
「以前」「以降」は基準日を含み、「より前」「より後」は基準日を含まないと覚えておくと整理しやすいでしょう。
「以前」と「以降」の違いを具体例で確認
たとえば、9月14日を基準にすると次のようになります。
| 日付 | 9月14日以前 | 9月14日以降 |
|---|---|---|
| 9月13日 | 含まれる | 含まれない |
| 9月14日 | 含まれる | 含まれる |
| 9月15日 | 含まれない | 含まれる |
このように、9月14日だけは「以前」「以降」の両方に含まれます。
一方、9月13日は「以前」だけ、9月15日は「以降」だけに含まれます。
基準日を境に、前方向が「以前」、後方向が「以降」と理解すると迷いにくくなります。
「以前」と「以降」の違いを理解するうえでは、基準となる日そのものを含むかどうかが特に重要です。
次の章では、「以前」「以降」がその日を含む理由や、「より前」「より後」との違いをさらに詳しく見ていきます。
「以前」と「以降」はその日を含む?
「○月○日以前」「○月○日以降」と書かれている場合、基準となっているその日を含みます。
たとえば、
「9月14日以前」
であれば9月14日を含み、
「9月14日以降」
の場合も9月14日を含みます。
「以前」と「以降」は方向こそ反対ですが、どちらも基準となる時点を含むのが共通点です。
期限や申し込み条件などでは、この点を理解しておくことが大切です。
なぜ「以前」と「以降」はその日を含む?
「以前」「以降」に使われている「以」には、基準となるものを含んで範囲を示す働きがあります。
そのため、
「10日以前」
なら10日を含めてそれより前、
「10日以降」
なら10日を含めてそれより後、
という意味になります。
同じ考え方は、「以上」「以下」にも見られます。
「18歳以上」なら18歳を含み、「10人以下」なら10人を含みます。
「以前」「以降」も同様に、示された日付や時点そのものを範囲に含めると考えると覚えやすいでしょう。
「以前」と「より前」の違い
「以前」と「より前」は似ていますが、基準となる時点を含むかどうかが違います。
たとえば、
「9月14日以前に提出してください。」
なら、9月14日に提出しても条件に入ります。
一方、
「9月14日より前に提出してください。」
なら、9月14日は含まれません。
つまり、9月13日までに提出する必要があります。
| 表現 | 9月14日を含む? | 対象 |
|---|---|---|
| 9月14日以前 | 含む | 9月14日とそれより前 |
| 9月14日より前 | 含まない | 9月13日まで |
「以前」を「より前」に言い換えると、基準日が対象から外れるので注意が必要です。
「以降」と「より後」の違い
「以降」と「より後」についても同じです。
「9月14日以降に来てください。」
なら、9月14日から来ることができます。
一方、
「9月14日より後に来てください。」
なら、9月14日は含まれず、それより後が対象です。
| 表現 | 9月14日を含む? | 対象 |
|---|---|---|
| 9月14日以降 | 含む | 9月14日とそれより後 |
| 9月14日より後 | 含まない | 9月15日から |
「以前」と「以降」を「より前」「より後」と同じ意味だと思っていると、期限や予定を一日間違える可能性があります。
時間を指定した場合も基準となる時刻を含む
「以前」「以降」は、日付だけでなく時刻についても使われます。
たとえば、
「午後5時以前」
なら午後5時を含めてそれより前、
「午後5時以降」
なら午後5時を含めてそれより後を表します。
したがって、
「午後5時以降に受付を開始します。」
と書かれていれば、午後5時も範囲に含まれます。
ただし、実際の案内では「午後5時から受付開始」のように書いたほうが、よりわかりやすい場合があります。
誤解を避けたい場面では、「以前」「以降」だけでなく具体的な開始・終了時刻を示すのも有効です。
年齢や数量でも「以」は基準を含む
「以」を使った範囲表現は、日付以外でも考え方は同じです。
「18歳以上」
なら18歳を含み、
「18歳以下」
なら18歳を含みます。
たとえば、「18歳以上が対象」と書かれていれば、18歳の人も対象です。
一方、
「18歳未満」
では18歳を含みません。
| 表現 | 基準を含む? |
|---|---|
| 以前 | 含む |
| 以降 | 含む |
| 以上 | 含む |
| 以下 | 含む |
| より前・より後 | 含まない |
| 未満 | 含まない |
「以」が付く表現は、基本的に基準となるものを含むと覚えておくと、「以前」と「以降」の範囲も判断しやすくなります。
ただし、日付では「以前」「以降」の意味がわかっていても、実際にどの日からどの日までが対象なのか迷うことがあります。
次の章では、具体的な日付を使って「以前」と「以降」の範囲を確認します。
「以前」単独の意味や、その日を含む範囲については、「以前」の意味・その日を含む範囲・反対語はこちらで詳しく解説しています。
「以前」と「以降」の範囲を日付で確認

「○日以前」と「○日以降」は、どちらも基準となる日を含んで範囲を示します。
「以前」と「以降」は、具体的な日付に置き換えて考えると範囲がわかりやすくなります。
ポイントは、「以前」も「以降」も、示された基準日を含むことです。
ここでは、9月14日を基準にして、「以前」「以降」が実際にどの日を指すのか確認してみましょう。
「9月14日以前」はいつまで?
「9月14日以前」と書かれている場合、9月14日を含めて、それより前の日が対象になります。
つまり、
・9月12日
・9月13日
・9月14日
はいずれも「9月14日以前」に含まれます。
一方、9月15日は含まれません。
| 日付 | 「9月14日以前」に含まれる? |
|---|---|
| 9月12日 | 含まれる |
| 9月13日 | 含まれる |
| 9月14日 | 含まれる |
| 9月15日 | 含まれない |
したがって、
「9月14日以前に申し込んでください。」
という条件なら、9月14日も申し込み可能な範囲に入ります。
「9月14日以降」はいつから?
「9月14日以降」の場合は、9月14日を含めて、それより後の日が対象です。
つまり、
・9月14日
・9月15日
・9月16日
などが「9月14日以降」に含まれます。
9月13日は含まれません。
| 日付 | 「9月14日以降」に含まれる? |
|---|---|
| 9月13日 | 含まれない |
| 9月14日 | 含まれる |
| 9月15日 | 含まれる |
| 9月16日 | 含まれる |
「9月14日以降に来店してください。」
なら、9月14日から来店できるという意味になります。
「9月10日以降、14日以前」ならいつからいつまで?
「以降」と「以前」が一つの文章で使われることもあります。
たとえば、
「9月10日以降、9月14日以前に手続きをしてください。」
という条件です。
この場合、
「9月10日以降」には9月10日が含まれ、
「9月14日以前」には9月14日が含まれます。
したがって対象となるのは、
9月10日・11日・12日・13日・14日
です。
| 日付 | 対象になる? |
|---|---|
| 9月9日 | ならない |
| 9月10日 | なる |
| 9月11日~13日 | なる |
| 9月14日 | なる |
| 9月15日 | ならない |
つまり、「9月10日以降、9月14日以前」は、わかりやすく表現すれば「9月10日から9月14日まで」となります。
年を基準にした「以前」「以降」も考え方は同じ
日付ではなく、年を基準にしても考え方は変わりません。
「2020年以前」
なら2020年を含めてそれより前、
「2020年以降」
なら2020年を含めてそれより後です。
| 年 | 2020年以前 | 2020年以降 |
|---|---|---|
| 2019年 | 含まれる | 含まれない |
| 2020年 | 含まれる | 含まれる |
| 2021年 | 含まれない | 含まれる |
「2020年以前に購入した商品」と書かれていれば、2020年に購入した商品も対象です。
反対に、「2020年より前に購入した商品」と書かれていれば、2020年は対象になりません。
日付でも年でも、「以前・以降」は基準となる時点を含むという基本は同じです。
期限では「○日まで」「○日から」とするとわかりやすい
「以前」「以降」は正しい範囲表現ですが、案内や申し込み期限では、読み手が「その日を含むのだろうか」と迷うことがあります。
そのため、
「9月14日以前にお申し込みください。」
より、
「9月14日までにお申し込みください。」
としたほうがわかりやすい場合があります。
同様に、
「9月14日以降に受付を開始します。」
なら、
「9月14日から受付を開始します。」
と表現できます。
意味を正確に伝えることが重要な場面では、「○日まで」「○日から」と具体的に示すと誤解を防ぎやすくなります。
「以前」と「以降」の範囲がわかれば、次に重要なのは実際の文章での使い分けです。
次の章では、日常会話や案内、ビジネスなどで「以前」と「以降」をどのように使い分けるのかを見ていきます。
「以前」と「以降」の使い分け
「以前」と「以降」は、基準となる時点から見て、どちらの方向を示したいのかによって使い分けます。
基準となる時点から前について述べるなら「以前」、その時点から後について述べるなら「以降」を使います。
たとえば、制度が4月1日に変更された場合、
「4月1日以前の制度」
なら変更前を含む過去側、
「4月1日以降の制度」
なら変更日を含むその後を表します。
「いつを基準にして、前と後のどちらについて述べたいのか」を考えると、使い分けやすくなります。
過去の出来事や状態には「以前」を使う
「以前」は、現在または特定の時点より前の出来事や状態について述べるときに使われます。
たとえば、
「以前、この店を利用したことがあります。」
「以前は電車で通勤していました。」
などです。
この場合の「以前」は、厳密な日付の範囲というより、「前に」「かつて」という意味で使われています。
「以前の職場」
「以前の方法」
「以前から知っていた」
など、日常会話や文章でも幅広く使われます。
過去を振り返ったり、現在と過去を比較したりするときには「以前」が使いやすいと考えるとよいでしょう。
ある時点から後を示す場合は「以降」を使う
「以降」は、ある時点を基準にして、そこから後の期間を示すときに使います。
たとえば、
「10月以降に販売を開始します。」
なら、10月を含めてその後に販売を開始するという意味です。
「午後3時以降にお越しください。」
なら、午後3時から後の時間帯を表します。
「以降」は「以前」と違い、単に「過去」「未来」という区別で使うわけではありません。
過去の日付についても、
「2020年以降、利用者が増えた。」
のように使えます。
「以降」は、基準となる時点から後の流れや期間を示す言葉です。

期限では「以前」、開始時点から後を示す場合には「以降」が使われることがあります。
期限を示すなら「以前」と「以降」の方向に注意する
申し込みや提出などの期限では、「以前」と「以降」を取り違えると意味が反対になります。
たとえば、
「9月14日以前に提出してください。」
なら、9月14日までに提出するという意味です。
一方、
「9月14日以降に提出してください。」
なら、9月14日から後に提出するという意味になります。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| 9月14日以前に提出 | 9月14日までに提出 |
| 9月14日以降に提出 | 9月14日から後に提出 |
「以前」は締め切り側、「以降」は開始時点側を示す場合に使われることが多いと覚えておくと、実際の案内でも判断しやすくなります。
ビジネスでは具体的な日付を添えるとわかりやすい
ビジネスでは、「以前」「以降」だけでは基準となる時点がわかりにくい場合があります。
たとえば、
「以前の資料をご確認ください。」
では、複数の資料があるとどれを指しているのかわかりません。
その場合は、
「9月1日に送付した資料をご確認ください。」
と具体的に示したほうが明確です。
また、
「次回以降は新しい書式をご使用ください。」
という表現も、
「10月1日以降は新しい書式をご使用ください。」
とすれば、いつから変更されるのかが明確になります。
仕事上の連絡では、「以前」「以降」を使うことより、相手が迷わず理解できることを優先するとよいでしょう。
「以前」と「以降」の使い分けを一覧で確認
| 使いたい場面 | 使う表現 | 例 |
|---|---|---|
| 基準時点より前 | 以前 | 2020年以前の商品 |
| 基準時点より後 | 以降 | 2020年以降の商品 |
| 過去の出来事 | 以前 | 以前会ったことがある |
| 開始時点から後 | 以降 | 午後3時以降に受付する |
| 期限まで | 以前 | 10日以前に提出する |
| 開始日から | 以降 | 10日以降に申し込む |
「以前」と「以降」は対になるように使われることが多いため、「反対の意味を持つ言葉なのか」と疑問に思うこともあるでしょう。
次の章では、「以前」と「以降」の反対語・対義語について整理します。
「以前に」と「以前は」の使い分けについては、「以前に」と「以前は」の違いはこちらをご覧ください。
「以前」と「以降」の反対語は?
「以前」と「以降」は、基準となる時点から見て反対方向を表すため、対になる言葉として使われることがあります。
「2020年以前」と「2020年以降」のように並べると、
「以前」=基準時点を含めて前
「以降」=基準時点を含めて後
となり、示す方向は反対です。
そのため、日付や時間の範囲を表す場合には、「以前」と「以降」は対になる表現と考えるとわかりやすいでしょう。
ただし、「以前」には「前に」「かつて」という意味もあるため、すべての文章で「以前」の反対が「以降」になるわけではありません。
「以降」の反対語は「以前」?
日付や時刻を基準にして範囲を表す場合、「以降」に対する表現として「以前」が使えます。
たとえば、
「4月1日以降に申し込んだ人」
に対して、
「4月1日以前に申し込んだ人」
という表現ができます。
| 表現 | 示す範囲 |
|---|---|
| 4月1日以前 | 4月1日を含めて前 |
| 4月1日以降 | 4月1日を含めて後 |
このような使い方では、両者は基準日を境に反対方向を示しています。
したがって、「以降の反対は?」と聞かれた場合、「以前」は代表的な答えの一つです。
「以前」の反対が必ず「以降」とは限らない
一方、「以前」は日付の範囲だけを表す言葉ではありません。
たとえば、
「以前、この店に来たことがあります。」
という場合の「以前」は、「前に」「過去に」という意味です。
この「以前」を、
「以降、この店に来たことがあります。」
と反対にすることはできません。
文章の内容によっては、
「以前」と「現在」
「以前」と「今」
「以前」と「その後」
などを対比させるほうが自然です。
たとえば、
「以前は人通りが少なかったが、現在は多くの人でにぎわっている。」
という文章では、「以前」と対比されているのは「現在」です。
「以前」の反対側に置く言葉は、何を対比しているのかによって変わります。
「以降」と「以前」は範囲を表すときに対になる
「以前」と「以降」を対になる表現として覚えるなら、日付や時間などの範囲を表す場合に限定して考えるとわかりやすくなります。
たとえば、
「午後5時以前」
と
「午後5時以降」
では、午後5時を基準として前後の範囲を表します。
同様に、
「2020年以前」
と
「2020年以降」
でも、2020年を基準として時間の方向が反対になります。
| 基準 | 前方向 | 後方向 |
|---|---|---|
| 4月1日 | 4月1日以前 | 4月1日以降 |
| 午後5時 | 午後5時以前 | 午後5時以降 |
| 2020年 | 2020年以前 | 2020年以降 |
基準となる時点を含みながら、前方向と後方向を示すという点で「以前」と「以降」は対になると理解しておけばよいでしょう。
「以降」の反対を「まで」とする場合もある
実際の案内や会話では、「以降」に対して必ず「以前」を使うわけではありません。
たとえば、
「4月1日以降に申し込んでください。」
に対して、反対側の条件を示すなら、
「3月31日までに申し込んでください。」
と表現することもできます。
また、
「午後5時以降」
に対して、
「午後5時まで」
と表現したほうが自然な場面もあります。
「以前」は範囲を正確に示せる一方、「○日まで」「○時まで」のほうが日常的で理解しやすい場合があります。
反対の範囲を示したいのか、自然な文章にしたいのかによって表現を選ぶことが大切です。
「以降」には、よく似た言葉として「以後」もあります。
どちらも基準となる時点から後を表しますが、使われ方には少し違いがあります。
次の章では、「以降」と「以後」の違いと使い分けを見ていきます。
「以降」と「以後」の違いは?

「以降」と「以後」はどちらも基準時点から後を表しますが、使われ方やニュアンスには違いがあります。
「以降」と「以後」は、どちらも基準となる時点を含み、そこから後を表す言葉です。
たとえば、「4月1日以降」と「4月1日以後」は、どちらも4月1日を含めて、その後を指します。
そのため、同じように使える場合も少なくありません。
ただし、「以降」は基準となる時点から後へ続く範囲を意識しやすく、「以後」はある出来事や時点を境にした「その後」を表すときによく使われます。
「以降」は基準時点から後の範囲を表しやすい
「以降」は、日付や時刻などを基準にして、そこから後へ続く範囲を示す場合によく使われます。
たとえば、
「4月1日以降に申し込んでください。」
「午後5時以降にお越しください。」
「2020年以降に発売された商品です。」
などです。
これらはいずれも、基準となる時点から後の期間や範囲を示しています。
開始する時点を示し、そこから後の範囲について述べたい場合には「以降」が使いやすいといえるでしょう。
「以後」はある時点から「その後」を表しやすい
「以後」も、基準となる時点から後を表します。
ただし、「以降」よりも「その時を境にして、その後」という意味で使われることがあります。
たとえば、
「事故以後、安全対策が強化された。」
という文章なら、事故が起きた時点を境に、その後の状況が変化したことを表しています。
また、
「以後、このようなことがないよう注意します。」
という使い方もできます。
この場合の「以後」は、「これから先」「今後」に近い意味です。
「以降、このようなことがないよう注意します」とすると、やや不自然になります。
「以降」と「以後」は置き換えられる場合もある
日付などを基準としている場合は、「以降」と「以後」を置き換えても意味が大きく変わらないことがあります。
たとえば、
「4月1日以降に適用します。」
「4月1日以後に適用します。」
は、どちらも4月1日を含めて、その後に適用するという意味です。
また、
「2020年以降に制度が変わった。」
「2020年以後に制度が変わった。」
も、基本的な時間の方向は同じです。
ただし、一般的な案内や予定、受付期間などでは、「以降」のほうが自然に使われることが多いでしょう。
「それ以降」と「それ以後」も意味は近い
「それ以降」と「それ以後」も、ある出来事や時点から後を表します。
たとえば、
「2010年に東京へ移りました。それ以降、一度も引っ越していません。」
という場合は、2010年から現在までの期間が意識されています。
一方、
「その出来事があり、それ以後、彼の考え方は変わりました。」
なら、その出来事を境として「その後」というニュアンスが強くなります。
両者の意味は近いため、文章によってはどちらも使えます。
継続する期間を意識するなら「それ以降」、出来事を境にしたその後を意識するなら「それ以後」と考えると使い分けやすくなります。
「以降」と「以後」の違いを一覧で比較
| 項目 | 以降 | 以後 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 基準時点から後 | 基準時点から後 |
| 基準時点 | 含む | 含む |
| ニュアンス | そこから後へ続く範囲 | その時を境にした「その後」 |
| 使いやすい場面 | 日付・時刻・予定・期間 | 出来事の後・文章的な表現 |
| 例 | 4月1日以降に受付 | 事故以後、対策を強化 |
「以降」と「以後」は、常にはっきり区別される言葉ではありません。
日付などでは置き換えられる場合もありますが、「以降」は後へ続く範囲、「以後」はその時を境にしたその後と考えると、文章に合った表現を選びやすくなります。
また、「以後」は単独で、
「以後、十分に注意します。」
のように「今後」の意味でも使えます。
「以前」「以降」「以後」は似た表現ですが、基準となる時点と時間の方向を意識すると違いがわかりやすくなります。
次の章では、「以前」と「以降」の使い方を例文10選で確認します。
「以前」と「以降」を使った例文10選
「以前」と「以降」は、日常会話だけでなく、日付や期限、ビジネスなどさまざまな場面で使われます。
「以前」は基準となる時点から前、「以降」は基準となる時点から後を表すのが基本です。
ここでは、「以前」と「以降」を使った例文をそれぞれ5つ、合計10例紹介します。
日付と一緒に使う場合は、どちらも基準となる日を含むことにも注目してみましょう。
「以前」を使った例文5選
例文1
「以前、この店で食事をしたことがあります。」
この「以前」は、現在より前のある時点を表しています。
「前に、この店で食事をしたことがあります」と言い換えることもできます。
例文2
「以前は毎朝、電車で会社へ通っていました。」
過去の状態や習慣を、現在と比較している例です。
この場合は、「昔は」「前は」「かつては」などに言い換えられます。
例文3
「2020年以前に発売された商品が対象です。」
2020年を基準として、それを含めた前の範囲を表しています。
2020年も対象に含まれる点がポイントです。
例文4
「9月14日以前に申込書を提出してください。」
9月14日を含めて、それより前に提出するという意味です。
わかりやすくするなら、
「9月14日までに申込書を提出してください。」
と表現することもできます。
例文5
「以前ご案内した内容から、一部変更があります。」
ビジネスでも「以前」は使えます。
最近の案内について述べているのであれば、
「先日ご案内した内容から、一部変更があります。」
とすると、時期がより具体的になります。
「以降」を使った例文5選
例文6
「午後3時以降でしたら、自宅にいます。」
午後3時を含めて、それより後の時間帯に自宅にいるという意味です。
「午後3時から」と言い換えると、より日常的な表現になります。
例文7
「10月以降に旅行へ行く予定です。」
10月を含め、それより後の時期に旅行する予定であることを表しています。
具体的な日程は決まっていなくても、開始する時期を示したい場合に「以降」が使えます。
例文8
「2020年以降、この地域の人口は増加しています。」
2020年を基準として、そこから後の変化を表した例です。
「以前」が前方向を表すのに対し、「以降」は基準時点から後へ続く流れを表しています。
例文9
「9月14日以降に商品を発送します。」
9月14日を含め、それより後に発送するという意味です。
9月14日を含めたくない場合は、
「9月14日より後に商品を発送します。」
など、別の表現にする必要があります。
例文10
「次回以降の会議では、新しい資料を使用します。」
「次回」を基準として、その回を含めて後の会議すべてを表しています。
ビジネスでは、「次回以降」「来月以降」「○月○日以降」のように、新しいルールや予定を適用する開始時点を示す場合にもよく使われます。
「以前」と「以降」の例文を比較
同じ基準日を使って比べると、両者の違いがさらにわかりやすくなります。
| 例文 | 意味 |
|---|---|
| 9月14日以前に申し込む | 9月14日を含めて前に申し込む |
| 9月14日以降に申し込む | 9月14日を含めて後に申し込む |
| 2020年以前の商品 | 2020年を含めて前の商品 |
| 2020年以降の商品 | 2020年を含めて後の商品 |
「以前」と「以降」は、基準となる時点を含むという点では共通していますが、示す時間の方向が反対です。
「以前=基準から前」「以降=基準から後」と考えれば、日付や期限を含む文章でも使い分けやすくなります。
「以前」を英語でどう表現するかについては、「以前」の英語表現と使い分けはこちらで詳しく紹介しています。
「以前」と「以降」の違いまとめ
「以前」と「以降」の違いは、基準となる時点から見て、どちらの方向を表すかにあります。
「以前」は基準となる日や時点を含めて前、「以降」は基準となる日や時点を含めて後を表します。
たとえば、「9月14日以前」なら9月14日を含めて前、「9月14日以降」なら9月14日を含めて後が対象です。
「以前」と「以降」はどちらも基準となる日そのものを含むことを覚えておくと、迷いにくくなります。
一方、「9月14日より前」「9月14日より後」とすると、9月14日は含まれません。
また、「以降」と「以後」は意味が近いものの、「以降」は基準時点から後へ続く範囲、「以後」はその時点を境にした「その後」を表す場合によく使われます。
期限や申し込み条件など、誤解を避けたい場面では、「9月14日まで」「9月14日から」のように具体的に表現するのもよいでしょう。
基準となる時点を含むか、そして前と後のどちらを示すのかを確認することが、「以前」と「以降」を正しく使い分けるポイントです。
※記事内の人物画像はAIで生成したイメージです。実在の人物とは関係ありません。
英語で「以前」を表したい場合は、「以前」の英語表現と使い分けはこちらで、before・previously・formerlyなどの違いを紹介しています。


















