「出納」の語源とは?言葉の由来と意味・読み方の歴史を解説

「出納」は、
「金銭や物品などを出し入れすることを意味する言葉」
です。
現在では会計や経理でよく使われますが、そもそも「出納」という言葉はどのような成り立ちを持つのでしょうか。
「出」は外へ出すこと、「納」は中へ納めることを表し、二つの反対方向の動きが一つの熟語になっています。
この記事では、「出納」の
「語源と漢字の意味」
古くはどのように使われていたのか、金銭の出し入れを表すようになった背景や「すいとう」という読み方の歴史までわかりやすく解説します。
「出納」の語源とは?言葉の成り立ちを解説
「出納」という言葉は、「出」と「納」という反対方向の動きを表す二つの漢字から成り立っています。
「出」は、内側にあるものを外へ出すこと。
「納」は、外にあるものを中へ入れたり、決められた場所へ納めたりすることです。
この二つを組み合わせた「出納」は、もともと「出すこと」と「納めること」の両方を表す言葉です。
現在では特に、金銭や物品を出したり入れたりする意味で使われています。
「出す」と「納める」を組み合わせた言葉
「出納」の成り立ちを理解するには、漢字を一文字ずつ考えると分かりやすくなります。
「出」は、ものが内側から外側へ移動することを表します。
一方の「納」は、ものを中へ入れる、受け入れる、決められたところへ納めるという意味を持っています。
つまり、
「出」=外へ出す
「納」=中へ納める
という組み合わせです。
外へ出ていく動きと、中へ入ってくる動きを一つにしたものが「出納」と考えると、言葉の成り立ちが理解しやすいでしょう。
「出納」は最初からお金だけを意味した言葉ではない
現代で「出納」と聞くと、「現金出納」「出納帳」「出納係」など、お金に関係する言葉を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、「出納」という言葉が表す基本的な考え方は、金銭だけに限定されるものではありません。
物品を受け入れたり、必要に応じて外へ払い出したりすることについても「出納」が使われます。
そのため、「出納」の語源を理解するときは、単純に「お金の出し入れ」という現代的な意味だけで考えるよりも、「ものを出すこと・納めること」という基本的な意味から捉えるのが適切です。
「出納」の意味は漢字を見ると覚えやすい
「出納」は「すいとう」という読み方が難しいため、難解な言葉のように感じられます。
しかし、言葉の意味そのものは、二つの漢字から比較的簡単に理解できます。
「出す」+「納める」
↓
「出るものと入るものを扱う」
↓
「金銭や物品などを出し入れする」
という流れで考えればよいでしょう。
現在の会計や経理で使われる「出納」も、この「出す・納める」という基本的な意味につながっています。
では、「出」と「納」という漢字には、それぞれもともとどのような意味があるのでしょうか。
次の章では、二つの漢字をさらに詳しく見ていきます。
「出」と「納」にはそれぞれどんな意味がある?

「出」は外へ出すこと、「納」は中へ納めることを表し、その両方を合わせたのが「出納」です。
「出納」の語源を理解するうえで、「出」と「納」がそれぞれ何を表しているのかを知っておくことは大切です。
二つの漢字は、ものの動きという点では正反対の意味を持っています。
「出」は外へ向かう動き、「納」は内へ向かう動きを表し、この二つを組み合わせることで「出し入れ」という意味が生まれています。
「出」は内から外へ出ることを表す
「出」という漢字には、「でる」「だす」「外へ向かう」といった意味があります。
たとえば、
「外出」=外へ出ること
「出発」=ある場所から出て行くこと
「支出」=お金を外へ出すこと
などがあります。
「出納」に使われる「出」も、基本的な考え方は同じです。
金銭であれば、代金や経費などを支払うことで、お金が手元から外へ出ていきます。
物品であれば、保管していたものを必要な人や部署へ渡すことなどが「出す」側の動きに当たります。
つまり「出納」の「出」は、管理している金銭や物品が外へ出ていくことを表しています。
「納」は中へ入れて納めることを表す
「納」という漢字には、「おさめる」「中へ入れる」「受け入れる」といった意味があります。
「納税」は税金を納めること、「納入」は金銭や品物を納めることです。
また、「収納」には物を中へ入れてしまっておくという意味があります。
「出納」の「納」も、外から入ってきた金銭や物品を受け入れる側の動きを表します。
金銭であれば、売上金や代金などを受け取ること。
物品であれば、新しく届いた品物を受け入れて管理することなどが該当します。
「出」とは反対に、外から内へ入ってくる側を表すのが「納」です。
反対の意味を持つ二文字で「出し入れ」を表している
「出納」の特徴は、反対方向を表す二つの漢字を一つの熟語にしていることです。
「出」=外へ出す
「納」=中へ納める
この両方を合わせることで、何かが外へ出ていく場合だけでなく、入ってくる場合も含めて表せます。
たとえば会社のお金で考えると、
売上金が入る
↓
経費や代金を支払う
↓
それぞれを記録・管理する
といった一連のお金の動きがあります。
この「入る」と「出る」の両方向をまとめて表せる言葉が「出納」なのです。
「出納=支払い」だけではない
「出納」の「出」という字から、お金を支払うことだけを意味すると考えてしまうことがあります。
しかし、「出納」には「納」も含まれているため、出ていくものだけではなく、入ってくるものも対象です。
したがって、
「出納」=支払い
ではなく、
「出納」=出すことと納めることの両方
と理解するのがポイントです。
この二つの漢字が持つ意味を押さえておくと、「現金出納」「物品出納」「出納帳」などの言葉も理解しやすくなります。
では、この「出す・納める」という意味を持つ「出納」は、もともとどのような場面で使われていたのでしょうか。
次の章では、「出納」という言葉の古い意味と使われ方を見ていきます。
「出納」はもともとどのような意味で使われた?
現在の「出納」は、金銭や物品の出し入れという意味で使われるのが一般的です。
しかし、「出納」という言葉には古い歴史があり、もともと現在の会計用語としてだけ使われていたわけではありません。
基本にあるのは、文字どおり「ものを出すこと」と「ものを納めること」です。
そこから、物品などを受け入れたり払い出したりすることや、それらを管理することを表す言葉として使われてきました。
古くは物を出し入れする意味で使われた
「出納」という二文字を見ると、言葉の基本的な意味が分かります。
「出」は外へ出すこと。
「納」は中へ納めることです。
古い用法でも、この「出す・納める」という意味が基本にあります。
現在は「現金出納」という言葉が身近ですが、「出納」の対象はもともと金銭だけに限定されるものではありません。
物品などを出したり受け入れたりすることも含む、より広い意味を持つ言葉でした。
「出納」は役所や官職にも関係する言葉だった
「出納」は、古い時代の役所や官職に関係する言葉としても使われています。
平安時代には「出納(しゅつのう)」と呼ばれる職があり、文書や物品などの取り扱いに関係する役割を担いました。
ここで注目したいのは、現代の「すいとう」という読み方とは異なり、古くは「しゅつのう」という読みが使われていたことです。
つまり「出納」という言葉そのものは古くから存在しますが、その意味や読み方は、時代を経ながら現在の形へつながってきたと考えることができます。
「出す・納める」から「管理する」意味へ
物や金銭を出したり納めたりすると、それに伴って「何を受け入れたのか」「何を払い出したのか」を管理する必要が生じます。
そのため「出納」は、単にものが出入りする動作だけでなく、出し入れを記録・管理する仕事や業務とも深く結びついていきます。
現代でも、
「現金出納」
「物品出納」
「出納業務」
「出納係」
など、「出し入れ+管理」という意味合いを持つ言葉が数多く残っています。
現在の「出納」にも古い意味が残っている
現代では会計や経理の言葉という印象が強くなっていますが、「出納」の基本的な意味そのものが大きく変わったわけではありません。
「出す」と「納める」という二つの動きを表すことは、昔も現在も共通しています。
違うのは、時代とともに金銭の受け取りや支払い、そしてその管理を表す言葉として使われる場面が多くなったことです。
したがって、「出納」の語源を理解するときは、
「昔は別の意味だった」
↓
「現在はお金の意味になった」
と単純に分けるより、
「出す・納める」という基本的な意味が、時代とともに金銭や物品の管理へ広く使われるようになった
と考えると分かりやすいでしょう。
では、古い時代の「出納」は実際にどのような場面で使われていたのでしょうか。
次の章では、もう少し時代をたどりながら「出納」の歴史を見ていきます。
現在使われている「出納」の意味や使い方、例文を確認したい方は、「出納」とは?読み方・意味・使い方を例文付きでわかりやすく解説も参考にしてください。
古い時代の「出納」とは?歴史をたどる
「出納」という言葉には長い歴史があります。
現在では「すいとう」と読み、金銭や物品の出し入れを表す言葉として定着していますが、古い時代には「しゅつのう」という読み方が使われ、役所の職名などにも見られました。
時代をたどってみると、「出す・納める」という基本的な意味が、現代の会計や金銭管理につながってきたことが分かります。

「出納」という言葉には古い歴史があり、古代・中世には役所の職名などにも使われました。
古代・中世には「出納」という職名もあった
古い時代の「出納」を考えるうえで興味深いのが、役所の職名として使われていたことです。
平安時代以降には「出納(しゅつのう)」と呼ばれる職があり、文書や物品などの取り扱いに関係する実務を担いました。
現代の「出納係」とまったく同じ仕事だったわけではありませんが、「出す」「納める」といった実務を扱うという点では、現在の言葉にもつながる部分があります。
つまり、「出納」という言葉自体は現代の会計制度から生まれたものではないのです。
「出納」は金銭だけでなく物品にも使われてきた
現在は「現金出納」「出納帳」などの言葉をよく目にするため、「出納=お金」という印象が強くなっています。
しかし、もともとの「出納」は「出すこと」と「納めること」を表すため、対象は金銭だけではありません。
物品を受け入れたり、保管しているものを必要に応じて払い出したりすることも「出納」に含まれます。
「何かを受け入れ、必要に応じて外へ出す」という意味が言葉の根底にありました。
この意味は現在の「物品出納」にも残っています。
近代には金銭の出し入れを表す「すいとう」が見られる
時代が進むと、「出納」は金銭の受け取りや支払いを表す言葉としても広く使われるようになります。
『日本国語大辞典』には、福沢諭吉の『西洋事情』(1866~70年)に「出納」を「すいとう」とした用例が掲載されています。
少なくとも幕末から明治初期には、金銭の出入りに関係する「すいとう」という読み方が使われていたことが確認できます。
近代になって会計や財政の仕組みが整えられていく中で、「出納」は金銭管理に関係する言葉としても定着していきました。
現代では会計や経理で身近な言葉になった
現代の「出納」は、会社や役所などで金銭や物品を管理する場面によく使われます。
たとえば、
「現金出納」
「出納帳」
「出納業務」
「出納係」
などがあります。
古い時代から現在までを大まかに整理すると、
古代・中世
↓
物品などの出し入れや、それに関係する職名にも「出納」が使われる
近代
↓
金銭の受け取り・支払いを表す「出納(すいとう)」の用法が見られる
現代
↓
会計・経理・行政などで金銭や物品の出し入れと管理を表す
という流れで見ることができます。
時代によって使われる場面や読み方には変化があっても、「出す・納める」という言葉の基本は受け継がれているのが「出納」の特徴です。
次の章では、なぜ「出納」が現在のように金銭の出し入れを表す言葉として広く使われるようになったのかを見ていきます。
「出納」が金銭の出し入れを表すようになった背景
現在、「出納」という言葉は、会社や役所などで金銭の受け取りや支払いを表す言葉としてよく使われています。
しかし、「出納」が途中から突然「お金」という意味に変わったわけではありません。
もともと「出納」が持っていた「出すこと・納めること」という意味が、金銭の出入りにも使われるようになったと考えると分かりやすいでしょう。
お金にも「入る」と「出る」がある
金銭の動きを考えると、「出納」という言葉との相性がよく分かります。
たとえば会社では、商品やサービスの代金を受け取ればお金が入ってきます。
一方、仕入れ代金や経費などを支払えば、お金は外へ出ていきます。
つまり、
入金する=お金を受け入れる
支払いをする=お金を外へ出す
という二方向の動きがあります。
これは「出」と「納」が表す動きとよく対応しています。
そのため、金銭の受け取りと支払いの両方をまとめて表す言葉として「出納」が使われるようになったと理解できます。
金銭は出し入れするだけでなく記録・管理する必要がある
お金を扱う場合、単に受け取ったり支払ったりするだけでは済みません。
いつ、いくら入ってきたのか。
いつ、何のためにいくら支払ったのか。
そして、現在いくら残っているのか。
こうした内容を記録し、実際の金額と照合する必要があります。
そのため「出納」は、金銭を出したり入れたりする行為だけでなく、その動きを記録・管理する業務とも深く結びつく言葉になっています。
現在使われている「出納業務」や「出納係」といった表現にも、この意味合いが表れています。
「現金出納」や「出納帳」という言葉にもつながった
金銭の出入りを管理する場面では、「出納」を使ったさまざまな言葉があります。
たとえば、
「現金出納」=現金の受け取りや支払い
「出納帳」=金銭の出入りを記録する帳簿
「出納係」=金銭などの出納を担当する係
「出納業務」=入金や支払い、その確認・管理などを行う業務
といったものです。
これらはいずれも、「出す・納める」という「出納」の基本的な意味からつながっています。

出す・納める」という「出納」の基本的な意味は、現在の金銭の受け取りや支払い、その管理にもつながっています。
物品の「出納」という使い方も現在まで残っている
金銭について使われることが多くなっても、「出納」が持つ意味が「お金だけ」に限定されたわけではありません。
現在でも、倉庫などで物品を受け入れたり払い出したりすることを「物品の出納」と表すことがあります。
つまり、
物品を出す・納める
↓
物品の出納
金銭を出す・納める
↓
金銭の出納
というように、同じ基本的な考え方が使われています。
「出納」の意味の中心には、昔も現在も「出すことと納めること」があると考えると、その由来から現代の使い方まで一本につながります。
そして、意味とともに興味深いのが「出納」の読み方です。
古くは「しゅつのう」という読みも見られるのに、現在ではなぜ「すいとう」という読み方が一般的なのでしょうか。
次の章では、「出納」の読み方の歴史について簡潔に見ていきます。
「出納」はなぜ「すいとう」と読むようになった?
「出納」という言葉の歴史を見ていくと、意味だけでなく読み方にも変化があったことが分かります。
現在は「すいとう」と読むのが一般的ですが、古くは「しゅつのう」という読み方も使われていました。
では、なぜ現在は「すいとう」と読むのでしょうか。
「出」は「すい」、「納」は「とう」と読む
「すいとう」という読み方では、
「出」=すい
「納」=とう
と読みます。
「出」には「すい」という字音があり、「納」の「とう」は慣用音とされています。
これらを組み合わせて、
「出納」=「すいとう」
となります。
普段は「出」を「しゅつ」、「納」を「のう」と読むことが多いため、漢字を見ただけでは「すいとう」と推測しにくい言葉です。
古くは「しゅつのう」という読み方もあった
「出納」は、昔から「すいとう」とだけ読まれてきたわけではありません。
古い時代には「しゅつのう」という読み方が見られ、役所の職名などにも使われていました。
一方、近代になると、金銭の受け取りや支払いを表す「すいとう」の用例が確認されるようになります。
現在では、会社や役所などで金銭や物品の出し入れを意味する場合、「すいとう」と読むのが一般的になっています。
読み方の詳しい由来は別記事で解説
「出納」の語源を理解するうえでは、
「出す」+「納める」
↓
金銭や物品を出し入れする
という言葉の成り立ちと、
「出」=すい
「納」=とう
という読み方は分けて考えると分かりやすくなります。
この記事では「出納」という言葉そのものの語源と意味の歴史を中心に見てきました。
「なぜ『出』を『すい』と読むのか」「なぜ『納』が『とう』になるのか」「『しゅつのう』は間違いなのか」といった読み方については、別の記事で詳しく解説しています。
【内部リンク予定:「出納」はなぜ「すいとう」と読む?「しゅつのう」との違いや語源を解説】
このように、「出納」は古くから存在する言葉であり、その基本にある「出す・納める」という意味を保ちながら、読み方や使われる場面が時代とともに現在の形へつながってきたと考えると理解しやすいでしょう。
「出=すい」「納=とう」と読む理由や、「しゅつのう」との違いについては、「出納」はなぜ「すいとう」と読む?「しゅつのう」との違いや語源を解説で詳しく解説しています。
「出納」の語源・由来と意味の歴史まとめ
「出納」は、「出」と「納」という反対方向の動きを表す二つの漢字から成り立つ言葉です。
「出」は外へ出すこと、「納」は中へ納めることを表します。
この二つを組み合わせることで、「出すことと納めること」の両方を表す言葉になりました。
現在では金銭の受け取りや支払いという意味で使われることが多いものの、もともと対象がお金だけに限られていたわけではありません。
物品などを受け入れたり、必要に応じて払い出したりすることにも「出納」は使われてきました。
また、「出納」という言葉自体には古い歴史があり、古代・中世には「しゅつのう」と呼ばれる職名にも使われています。
その後、金銭の受け取りや支払い、その記録・管理にも「出納」が使われるようになり、現在の「現金出納」「出納帳」「出納業務」などにつながっています。
読み方についても、古くから「すいとう」だけだったわけではありません。
「しゅつのう」という読み方もあり、現在では金銭や物品の出し入れを表す場合に「すいとう」と読むのが一般的です。
「出納」の歴史を整理すると、
「出す・納める」
↓
物品などの出し入れ
↓
金銭の受け取りや支払いにも使われる
↓
会計や経理などで現在の「出納」として定着
という流れで理解すると分かりやすいでしょう。
読み方は少し難しい言葉ですが、語源そのものは非常に明快です。
「出納=出すこと+納めること」という基本を押さえておけば、現在の意味だけでなく、「出納帳」や「出納業務」といった関連する言葉も理解しやすくなります。
※記事内の人物画像はAIで生成したイメージです。実在の人物とは関係ありません。
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