風林火山とは?意味をわかりやすく!続きの陰雷・全文と読み方

「風林火山(ふうりんかざん)」という言葉を聞いたことはあっても、どのような意味なのか、詳しくは知らないという方もいるのではないでしょうか。
戦国武将の武田信玄を思い浮かべる方も多いと思いますが、もともとは中国の兵法書『孫子』に由来する言葉です。
また、風林火山には「陰」と「雷」にあたる続きがあることをご存じでしょうか。
この記事では、風林火山の意味をわかりやすく整理し、それぞれの漢字が表す内容や全文の読み方、続きの陰雷、日常での使い方まで見ていきます。
風林火山とは?意味をわかりやすく紹介
風林火山(ふうりんかざん)とは、状況に応じて行動の速さや静けさ、勢い、守りの姿勢を使い分けることを表す言葉です。
「風」「林」「火」「山」という四つの自然の姿を用いて、軍隊がどのように行動すべきかを示しています。
それぞれの意味を簡単に見てみましょう。
- 風:動くときは風のように素早く行動する。
- 林:待つときは林のように静かに落ち着く。
- 火:攻めるときは火のように激しい勢いで進む。
- 山:動かないときは山のようにどっしりと構える。
この四つは、いつも素早く動いたり、強い勢いで進んだりすることが大切だという意味ではありません。
ときには静かに機会を待ち、ときには動かずに守りを固めることも必要だという考え方です。
つまり、風林火山の大切なところは、一つの行動にこだわらず、その場にふさわしい判断をすることにあるといえるでしょう。
もともとは中国の兵法書『孫子』に由来する表現ですが、現在では仕事やスポーツなどで、状況に応じた行動の大切さを表す際にも使われています。
では、風林火山の四つの言葉は、もともとどのように書かれ、読まれていたのでしょうか。
風林火山の読み方と四つの言葉の意味
風林火山の読み方は「ふうりんかざん」です。
この言葉は、中国の兵法書『孫子』にある「其疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山」という一節に由来しています。
日本では一般的に「疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し」と読まれています。
それぞれの意味を見てみましょう。
風|疾きこと風の如く
「疾きこと風の如く(はやきことかぜのごとく)」とは、軍勢が進むときには風のように素早く行動するという意味です。
好機を逃さず、必要なときに速やかに動くことの大切さを表しています。
林|徐かなること林の如く
「徐かなること林の如く(しずかなることはやしのごとく)」とは、軍勢が林のように静かに、秩序を保って行動するという意味です。
むやみに動いたり隊列を乱したりせず、落ち着いて行動することの大切さを表しています。
火|侵掠すること火の如く
「侵掠すること火の如く(しんりゃくすることひのごとく)」とは、攻め込むときには燃え広がる火のような勢いで進むという意味です。
攻撃の機会を捉えたら、ためらわずに勢いを持って行動することを表しています。
山|動かざること山の如し
「動かざること山の如し(うごかざることやまのごとし)」とは、動くべきでないときには山のようにどっしりと構えるという意味です。
相手の動きに惑わされず、守るべき場面では簡単に態勢を崩さない強さを表しています。
このように、風林火山は速さや勢いだけを重視した言葉ではありません。
静かに行動することや、動かずに構えることも含めて、状況に応じた判断の大切さを示しています。
ところで、『孫子』の言葉は、この四つで終わりではありません。
実は、風林火山には「陰」と「雷」にあたる続きがあります。

風林火山のもとになった言葉は、古代中国の兵法書『孫子』に記されています。
風林火山の続きは?陰と雷の意味を紹介
風林火山には、実は「陰」と「雷」にあたる続きがあります。
中国の兵法書『孫子』の軍争篇には、風・林・火・山に続いて、「難知如陰(知り難きこと陰の如く)」「動如雷震(動くこと雷震の如し)」という二つの表現が記されています。
つまり、よく知られる風林火山の四つだけでなく、陰と雷を加えた六つの表現があるのです。
この二つには、どのような意味があるのでしょうか。
陰|知り難きこと陰の如く
「知り難きこと陰の如く(しりがたきこといんのごとく)」とは、相手に自分の動きや考えを簡単に悟られないようにするという意味です。
ここでいう「陰」は、暗がりや、物事の様子が見えにくい状態を表しています。
戦いでは、自分の作戦や次の行動を相手に知られてしまうと、先回りされることがあります。
そのため、自分の意図や動きを相手に見抜かれないことも大切だという考え方です。
風林火山の「林」が静かで落ち着いた行動を表すのに対し、「陰」は相手から自分の動きを読まれないことに重点があります。
雷|動くこと雷震の如し
「動くこと雷震の如し(うごくことらいしんのごとし)」とは、行動を起こすときには雷が鳴り響くような激しい勢いを持つという意味です。
「雷震」とは、雷が鳴り響き、周囲を震わせる様子を表しています。
静かに機会を待つだけではなく、いざ動くと決めたときには、相手を圧倒するような勢いで行動することを示しています。
風林火山の「風」が素早い動きを表すのに対し、「雷」は行動を起こしたときの激しい勢いを表していると考えると、違いがわかりやすいでしょう。

風林火山の続きにある「陰」は悟られにくさを、「雷」は激しい動きの勢いを表しています。
風林火山の続きにある「陰」と「雷」とは
風林火山の続きについて調べると、「陰雷」という言葉を見かけることがあります。
これは、風林火山の後に続く「陰」と「雷」をまとめて表した呼び方です。
ただし、『孫子』の原文に「陰雷」という二字熟語が書かれているわけではありません。
原文では、次の六つの表現が順番に記されています。
- 風:其疾如風
- 林:其徐如林
- 火:侵掠如火
- 山:不動如山
- 陰:難知如陰
- 雷:動如雷震
このように、風林火山の続きは「陰」と「雷」にあたる二つの表現です。
六つを通して見ると、素早く動くことだけでなく、静かに構えることや、相手に意図を悟らせないことも大切にされているとわかります。
次の章では、これらの言葉が『孫子』にどのように記されているのか、原文と書き下し文、現代語訳を並べて見ていきましょう。
風林火山の全文と書き下し文・現代語訳
風林火山のもとになった言葉は、中国の兵法書『孫子』の「軍争篇」に記されています。
よく知られる「風林火山」は四つの漢字ですが、原文には「陰」と「雷」を含む六つの表現があります。
まずは、『孫子』に記された六つの表現の全文を見てみましょう。
風林火山の原文と書き下し文
『孫子』軍争篇の該当部分は、次のとおりです。
【原文】
故其疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山、難知如陰、動如雷震。
【書き下し文】
故に其の疾きこと風の如く、其の徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如く、知り難きこと陰の如く、動くこと雷震の如し。
ここに紹介したのは、『孫子』軍争篇のうち、風林火山の由来となった六つの表現を含む一節です。
『孫子』全体の全文ではありませんが、風林火山の意味や、その続きにある「陰」と「雷」を理解するための重要な部分です。
風林火山の全文を現代語訳で確認
それぞれの原文と読み方、現代語訳を表にまとめました。
| 原文 | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 其疾如風 | 其の疾きこと風の如く | 動くときは風のように素早く進む。 |
| 其徐如林 | 其の徐かなること林の如く | ゆっくり進むときは林のように秩序を保つ。 |
| 侵掠如火 | 侵掠すること火の如く | 攻めるときは火のような勢いで進む。 |
| 不動如山 | 動かざること山の如く | 動かないときは山のように揺るがず構える。 |
| 難知如陰 | 知り難きこと陰の如く | 作戦や動きを相手に悟られないようにする。 |
| 動如雷震 | 動くこと雷震の如し | 行動を起こすときは雷のような勢いを見せる。 |
こうして並べてみると、風林火山は単に素早く動くことや、強い勢いで攻めることだけを表しているわけではないとわかります。
ゆっくり進むこと、動かずに構えること、相手に意図を悟らせないことも含まれています。
つまり、状況を見極めながら行動を変えることが、六つの表現に共通する考え方といえるでしょう。
風林火山は『孫子』の一節を短くした言葉
ここで気になるのは、なぜ六つの表現があるのに「風林火山」という四字の言葉で知られているのか、という点です。
実は『孫子』の原文に、「風林火山」という四字熟語がそのまま登場するわけではありません。
原文にある風・林・火・山の四つの文字を取り出し、まとめた呼び方が「風林火山」です。
日本では武田信玄の旗印として広く知られていますが、言葉のもとになった考え方は、それよりもはるか以前の中国の兵法書に記されていました。
次の章では、風林火山が『孫子』のどのような考え方から生まれたのか、その由来をもう少したどってみましょう。
風林火山の由来は孫子の兵法?
風林火山の由来は、古代中国の兵法書『孫子(そんし)』にあります。
戦国武将の武田信玄が使った言葉として有名ですが、もともとは武田信玄が考え出したものではありません。
その起源をたどると、日本の戦国時代よりもはるか昔の中国に行き着きます。
孫子とはどのような兵法書なのか
『孫子』は、古代中国の軍事思想をまとめた兵法書で、伝統的には春秋時代の兵法家・孫武(そんぶ)の著作とされています。
戦いに勝つための考え方だけでなく、戦争による損失を抑えることや、敵と自分の状況を見極めることなども説かれています。
現在伝わる『孫子』は全13篇からなり、風林火山のもとになった言葉は第7篇の「軍争篇」に登場します。
軍争篇では、軍隊をどのように動かし、有利な状況をつくるかという問題が取り上げられています。
その中で、風・林・火・山・陰・雷という自然の姿を用いて、軍隊の行動のあり方が表現されているのです。
風林火山が生まれた背景にある考え方
『孫子』の軍争篇には、風林火山の一節の直前に「兵は詐を以て立ち、利を以て動き、分合を以て変を為す」という趣旨の言葉があります。
これは、敵の予想を外す工夫をしながら、有利な状況に応じて行動し、軍勢を分けたり集めたりして変化に対応するという考え方です。
その具体的な行動の姿を、風や林、火や山などにたとえたものが、風林火山の由来となった一節です。
つまり、決まった方法だけに頼らず、状況に応じて行動を変えることが重視されているわけです。
素早く動くことが必要な場面もあれば、落ち着いて進むことや、動かずに守ることが大切な場面もあります。
自然の姿にたとえることで、それぞれの行動の違いが印象に残りやすい言葉になっています。
風林火山という四字熟語は後からまとめられた表現
ここで一つ確認しておきたいのは、『孫子』の原文に「風林火山」という四字熟語が、そのまま書かれているわけではないことです。
原文では、風・林・火・山・陰・雷の六つの表現が続けて記されています。
そのうち、最初の四つの自然を表す漢字を取り出した呼び方が「風林火山」です。
日本では武田信玄の旗印として知られるようになり、現在では四字熟語としても広く使われています。
ただし、「風林火山」という四字の呼び方が、いつ、誰によって最初に作られたのかまでは、ここで特定できるわけではありません。
大切なのは、風林火山が武田信玄だけの言葉ではなく、古代中国の兵法に由来するという点でしょう。
それでは、この言葉を現在の日常生活で使うとしたら、どのような場面が考えられるのでしょうか。
次の章では、風林火山の使い方を例文とともに見ていきます。
風林火山の使い方と例文を紹介
風林火山は、もともと軍隊の行動のあり方を示した言葉ですが、現在では仕事やスポーツ、日常生活の心構えを表す際にも使われます。
特に、状況に応じて素早く動いたり、落ち着いて機会を待ったりする姿勢を表したいときに使いやすい言葉です。
ただし、日常会話で頻繁に登場する四字熟語ではないため、行動方針や目標を語る場面で使うと自然でしょう。
風林火山を使った日常生活の例文
まずは、日常生活での使い方を見てみましょう。
- 何事も急げばよいわけではないので、風林火山の考え方を大切にしたい。
- 彼は風林火山を座右の銘にして、動くときと待つときを見極めている。
- 新しいことに挑戦するときは、風林火山の精神を忘れず、動くべきときと待つべきときを見極めたい。
- 父はよく、風林火山の精神で慌てずに判断することが大切だと話していた。
このように、「風林火山の考え方」「風林火山の精神」「風林火山を座右の銘にする」といった形で使うと、意味が伝わりやすくなります。

風林火山は、状況に応じて行動することの大切さを表す言葉として、日常生活にも当てはめられます。
スポーツや勝負の場面での例文
風林火山は戦いに由来する言葉なので、スポーツや勝負の場面にも比較的なじみます。
- 監督は風林火山をチームの合言葉にして、攻守の切り替えを大切にしている。
- 試合では風林火山の精神を忘れず、攻めるときと守るときを見極めたい。
- 相手の動きをよく観察し、風林火山のように状況に応じた戦い方を心がけた。
- 彼らのチームは風林火山を掲げ、素早い攻撃と粘り強い守備を使い分けている。
スポーツでは、攻める場面と守る場面の切り替えを表すときに使いやすいでしょう。
風林火山を使うときの注意点
風林火山は「勢いよく突き進む」という意味だけで使われることもありますが、それでは本来の意味の一部分しか表していません。
風のような速さや火のような勢いだけでなく、林のような落ち着きや山のような動じない姿勢も含まれています。
また、「風林火山する」という動詞の形よりも、「風林火山を掲げる」「風林火山の精神で臨む」といった表現の方が自然です。
言葉を使う際には、状況に合わせて行動を変えるという全体の意味を意識するとよいでしょう。
次の章では、風林火山の考え方を仕事に取り入れる場合について見ていきます。
風林火山はビジネスでも使える?
風林火山は、ビジネスの場面でも行動方針や心構えを表す言葉として使えます。
もともとは軍隊の行動を示した言葉ですが、状況に応じて素早く動くことと、落ち着いて判断することを使い分けるという考え方は、仕事にも通じるところがあります。
例えば、新しい企画を進めるときには、準備を整えてから素早く行動することが必要な場合もあれば、状況を見ながら慎重に判断することが大切な場合もあります。
ビジネスにおける風林火山の考え方
風林火山の四つの言葉を、仕事の場面に当てはめてみましょう。
- 風:好機を逃さず、必要なときには素早く行動する。
- 林:慌てずに情報を整理し、落ち着いて準備を進める。
- 火:方針が決まったら、集中して仕事に取り組む。
- 山:周囲の状況に振り回されず、大切な方針を守る。
これは『孫子』の言葉を現代の仕事に当てはめた一例であり、もともとビジネスについて書かれた言葉ではありません。
仕事で風林火山を使う例文
実際の文章では、次のような使い方が考えられます。
- 今年は風林火山の精神を大切にし、行動するときと慎重に判断するときを見極めたい。
- 部長は風林火山をチームの行動指針に掲げ、状況に応じた柔軟な対応を呼びかけた。
- 新規事業では、風林火山の考え方を参考に、準備と実行のタイミングを大切にしている。
ただし、風林火山は歴史や兵法に由来する表現なので、相手によっては意味が伝わりにくいこともあります。
一般的なビジネスメールや取引先への説明では、「状況に応じて柔軟に対応する」「迅速かつ慎重に判断する」など、具体的な言葉に置き換えた方がわかりやすいでしょう。
では、この風林火山という言葉が、日本で武田信玄と結び付けて知られるようになったのはなぜなのでしょうか。
風林火山と武田信玄の関係は?
風林火山と聞いて、戦国武将の武田信玄を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
武田信玄は、甲斐国(現在の山梨県)を本拠とした戦国大名で、風林火山の言葉を記した軍旗で知られています。
ただし、風林火山は武田信玄が考え出した言葉ではありません。
もともとは中国の兵法書『孫子』に由来するもので、信玄よりもはるか以前から存在していた考え方です。
武田信玄の旗印として知られる風林火山
武田信玄に関係する軍旗として有名なのが、「孫子の旗」と呼ばれる旗です。
この旗には、一般に「疾如風・徐如林・侵掠如火・不動如山」という『孫子』の一節が記されています。
そのため、現在では「風林火山の旗」という呼び方でも親しまれています。
山梨県には、甲州市の雲峰寺や恵林寺に伝わる「孫子の旗」があり、県指定の文化財となっています。
ただし、現存する旗が信玄本人によって実際の合戦で使用されたことまで、確実に確認できるわけではありません。
風林火山は武田信玄の名言なのか
風林火山は、武田信玄の名言として紹介されることもあります。
しかし、言葉そのものは『孫子』に由来するため、信玄自身が残した発言という意味での名言ではありません。
正確には、武田信玄の旗印として知られる、孫子の兵法に由来する言葉と考えるとわかりやすいでしょう。
武田信玄が風林火山を旗印にした背景や、現存する軍旗、武田菱などの旗印については、歴史記事で詳しく取り上げています。
風林火山という言葉の意味を知ると、武田信玄との関係にも興味が広がってきますね。
武田信玄が風林火山を旗印にした背景や、現存する軍旗、武田菱などの旗印については、武田信玄の風林火山とは?旗印の意味と由来・軍旗の歴史で詳しくたどっています。
まとめ|風林火山の意味と続きの陰雷
風林火山とは、中国の兵法書『孫子』に由来する、状況に応じた行動の大切さを表す言葉です。
今回の記事で確認した内容を振り返ってみましょう。
- 風:動くときは風のように素早く行動する。
- 林:進むときは林のように落ち着いて秩序を保つ。
- 火:攻めるときは火のような勢いで進む。
- 山:動かないときは山のように揺るがず構える。
- 陰:作戦や動きを相手に悟られないようにする。
- 雷:行動を起こすときは雷のような勢いを見せる。
よく知られる風林火山の四つに加えて、原典には「陰」と「雷」の表現も続いています。
また、武田信玄の旗印として有名ですが、信玄自身が作った言葉ではありません。
風林火山の大切なところは、素早く動くことだけでなく、待つことや動かないことも含めて判断する姿勢にあるのでしょう。
仕事や日常生活でも、状況に合わせた行動を考える際に、思い出したい言葉ですね。
参考資料
- Web漢文大系『孫子』軍争篇:風林火山の原文・書き下し文・語句の意味を参照。
- ウィキソース『孫子(武經七書)』:『孫子』の本文と日本語の読み下しを参照。
- 山梨県「山梨の文化財ガイド|孫子の旗(恵林寺)」:武田信玄と風林火山の旗印に関する記述を参照。
- 漢字ペディア「風林火山」:風林火山の意味・読み方・由来を参照。
※記事内の人物・他の画像はAIで生成したイメージです。実在の人物・他とは関係ありません。


















