「便宜を図る」はビジネスで使える?敬語・メールでの使い方を例文付きで解説

「便宜を図る」は、
「相手が物事を進めやすいように配慮したり、必要な対応をしたりすることを表す言葉」
で、ビジネスでも使われます。
一方、「便宜を図っていただき」は敬語として正しいのか、メールで使っても失礼にならないのか、相手に便宜を図ってもらいたいときはどうお願いすればよいのか迷うこともあるでしょう。
この記事では、「便宜を図る」のビジネスでの使い方を、敬語表現やメールでの注意点、場面別の例文とともにわかりやすく解説します。
「便宜を図る」はビジネスで使える?
「便宜を図る」は、ビジネスでも使える表現です。
相手が物事を進めやすいように配慮したり、必要な調整や対応をしたりするときに使います。
日常会話ではやや堅く感じられることがありますが、仕事上のやり取りや公的な文章では使われることのある、改まった表現です。
たとえば、「取引先の便宜を図る」「利用者の便宜を図る」のように使います。
ただし、「便宜を図る」は意味の範囲が広いため、具体的に何をしたのかが伝わりにくい場合もあります。
ビジネスでは、相手や状況に合わせて具体的な表現と使い分けることが大切です。
「便宜を図る」は仕事でも使われる改まった表現
「便宜を図る」は、相手にとって都合がよくなるよう方法を考えたり、必要な配慮をしたりすることを表します。
たとえば、
「遠方から来る取引先の便宜を図り、会議の開始時間を変更しました。」
「利用者の便宜を図るため、オンラインでの申し込みに対応しました。」
などの使い方ができます。
どちらも、相手が物事を進めやすくなるよう、具体的な対応をしています。
このように、取引先・顧客・利用者などへの配慮や調整を表す場面で「便宜を図る」を使うことができます。
社内でも「便宜を図る」は使える
「便宜を図る」は、取引先や顧客だけでなく、社内の人に対しても使えます。
たとえば、
「遠方の支店から参加する社員の便宜を図り、会議をオンラインでも開催することにしました。」
という使い方です。
社員が参加しやすくなるよう方法を変更しているため、「便宜を図る」が自然に使えます。
ただし、普段の会話で、
「○○さんの便宜を図って、時間を変えました。」
と言うと、少し堅く感じられることがあります。
その場合は、
「○○さんが参加しやすいよう、時間を変更しました。」
のようにすると、やわらかくわかりやすい表現になります。
「便宜を図る」は特別扱いという意味ではない
「便宜を図る」という表現から、「特定の相手を特別扱いする」という意味を想像することもあるかもしれません。
しかし、「便宜を図る」という言葉そのものに、不正やえこひいきという意味が含まれているわけではありません。
たとえば、顧客が利用しやすいよう営業時間を変更したり、取引先が参加しやすいよう会議時間を調整したりすることも「便宜を図る」です。
一方、公平性が必要な場面で特定の相手だけに有利な取り扱いをした場合には、批判的な意味合いで使われることがあります。
良い意味か悪い意味かは「便宜を図る」という言葉だけではなく、実際にどのような対応をしたのかによって変わります。
ビジネスでは具体的な表現のほうがよい場合もある
「便宜を図る」は幅広い配慮や対応を表せる便利な言葉ですが、その分、何をしたのかが曖昧になることがあります。
たとえば、
「取引先に便宜を図っていただきました。」
だけでは、日程を変更してもらったのか、手続きを進めてもらったのかはわかりません。
日程を変更してもらったのであれば、
「取引先に日程をご調整いただきました。」
としたほうが具体的です。
また、事情を考慮してもらったのであれば、
「こちらの事情にご配慮いただきました。」
と表現できます。
ビジネスでは、「便宜を図る」が間違いだから言い換えるのではなく、具体的な内容を伝えたほうがわかりやすい場合に言い換えると考えるとよいでしょう。
「便宜を図る」のビジネスでの使い方

納品時間などを相手の事情に合わせて調整することも、ビジネスにおける「便宜を図る」の一例です。
ビジネスで「便宜を図る」を使う場面は、取引先への配慮、日程の調整、顧客への対応、社内での手続きなどさまざまです。
共通しているのは、相手が仕事や手続きを進めやすくなるよう、何らかの配慮や対応をすることです。
ただし、「便宜を図る」は意味の範囲が広いため、誰に対して、どのような便宜を図ったのかがわかるようにすると、より伝わりやすい文章になります。
ビジネスでは「誰のために、何をしやすくしたのか」を意識して使うことがポイントです。
取引先への配慮に使う場合
取引先が仕事を進めやすいよう、条件や方法などを調整するときに「便宜を図る」を使うことができます。
たとえば、
「取引先の便宜を図り、打ち合わせ方法をオンラインに変更しました。」
「遠方から来社する取引先の便宜を図り、会議の開始時間を遅らせました。」
などです。
この場合の「便宜を図る」は、取引先を特別扱いするという意味ではなく、相手の事情を考慮して仕事を進めやすくするための対応を表しています。
日程や時間を調整する場合
会議や面談、納品などの日程を相手に合わせて調整する場合にも、「便宜を図る」を使えます。
たとえば、
「参加者の便宜を図り、説明会を午前と午後の2回開催することにしました。」
「取引先の便宜を図るため、納品時間を変更しました。」
などです。
ただし、日程や時間を変更したことが明確であれば、
「参加者が出席しやすいよう、説明会を2回開催しました。」
「取引先の希望に合わせて、納品時間を調整しました。」
のように具体的に表現することもできます。
「便宜を図る」は改まった文章に向き、「調整する」「希望に合わせる」は具体的でわかりやすい表現と考えると使い分けやすいでしょう。
顧客や利用者への対応に使う場合
顧客や利用者が商品やサービスを利用しやすくなるよう対応するときにも、「便宜を図る」が使われます。
たとえば、
「利用者の便宜を図るため、申し込み手続きをオンライン化しました。」
「顧客の便宜を図り、複数の受け取り方法を用意しました。」
などです。
この場合は、特定の一人に対する配慮ではなく、多くの利用者にとって便利になるよう仕組みを改善することを表しています。
そのため、企業や施設などがサービスの変更や改善について説明する文章でも使いやすい表現です。
社内で使う場合
社員が仕事を進めやすくなるよう、会社や部署が対応する場合にも「便宜を図る」を使うことができます。
たとえば、
「遠方の支店に勤務する社員の便宜を図り、研修をオンラインでも受講できるようにしました。」
「交代勤務の社員の便宜を図るため、説明会を複数回実施しました。」
などです。
ただし、社内の日常的な会話では「便宜を図る」が少し堅く感じられる場合があります。
その場合は、
「参加しやすいようにしました。」
「利用できるようにしました。」
「日程を調整しました。」
などと具体的に表現したほうが自然です。
「便宜を図る」は相手と対応内容を明確にする
ビジネスで「便宜を図る」を使うときは、単に、
「便宜を図りました。」
とするより、
「利用者の便宜を図るため、受付時間を延長しました。」
のように、誰に対して何をしたのかを示すと意味が明確になります。
また、相手にしてもらったことを表す場合には、
「便宜を図ってもらう」
「便宜を図っていただく」
という形も使えます。
特に取引先や目上の人に対しては、「便宜を図っていただく」のような丁寧な表現が必要になる場面があります。
次の章では、「便宜を図っていただき」が敬語として正しいのか、どのような場面で使えるのかを詳しく見ていきましょう。
「便宜を図っていただき」は正しい敬語?
「便宜を図っていただき」は、相手がこちらのために配慮や調整をしてくれたことを丁寧に表す言い方として使えます。
「いただく」は「もらう」の謙譲語なので、「便宜を図ってもらう」を丁寧にすると「便宜を図っていただく」となります。
たとえば、
「このたびは便宜を図っていただき、ありがとうございました。」
のように、相手から配慮や対応を受けたことへの感謝を伝える場合に使えます。
ただし、「便宜を図る」は内容がやや抽象的です。
敬語として使えるかどうかだけでなく、相手が実際にしてくれたことが伝わる表現かどうかも考えることが大切です。
「便宜を図っていただき」は相手への感謝に使える
「便宜を図っていただき」は、相手がこちらの事情を考えて対応してくれた場合などに使えます。
たとえば、
「急なお願いにもかかわらず、便宜を図っていただき、誠にありがとうございました。」
「こちらの事情に便宜を図っていただき、心より感謝申し上げます。」
などです。
相手が何らかの配慮をしてくれたことに対して、丁寧に感謝を伝える表現です。
一方、何をしてもらったのかが明確な場合は、
「日程をご調整いただき、ありがとうございました。」
「こちらの事情にご配慮いただき、ありがとうございました。」
のように、具体的に表現する方法もあります。
「ご便宜を図っていただき」は使える?
「便宜」に「ご」を付けた「ご便宜」という表現もあります。
そのため、
「ご便宜を図っていただき、ありがとうございます。」
という形も成り立ちます。
ただし、「ご便宜を図っていただき」はかなり改まった響きがあり、日常的なビジネスメールでは堅く感じられる場合があります。
また、「便宜を図っていただき」だけでも相手への敬意は表せます。
無理に「ご」を加えるより、文章全体の場面や相手との関係に合わせて選ぶとよいでしょう。
特に、日程変更や手続きへの対応など具体的な内容がわかっている場合は、「日程をご調整いただき」「ご対応いただき」などと表したほうが自然で明確です。
「便宜を図ってくださり」との違い
「便宜を図っていただき」と「便宜を図ってくださり」は、どちらも相手の配慮に感謝するときに使えます。
ただし、敬語の組み立て方が異なります。
| 表現 | 考え方 |
|---|---|
| 便宜を図っていただき | 自分が相手から便宜を図ってもらったことを丁寧に表す |
| 便宜を図ってくださり | 相手が自分のために便宜を図ってくれたことを丁寧に表す |
たとえば、
「便宜を図っていただき、ありがとうございます。」
「便宜を図ってくださり、ありがとうございます。」
はいずれも使えます。
前者は「こちらが配慮を受けた」という側から、後者は「相手が配慮してくれた」という側から表現していると考えると違いがわかりやすいでしょう。
具体的な表現のほうが自然な場合もある
「便宜を図っていただき」は、さまざまな配慮や対応に使える反面、具体的な内容が伝わりにくいことがあります。
たとえば、
「会議について便宜を図っていただき、ありがとうございました。」
よりも、
「会議の日程をご調整いただき、ありがとうございました。」
のほうが、相手が何をしてくれたのかが明確です。
同じように、
手続きを進めてもらった
→「お取り計らいいただき」
事情を考慮してもらった
→「ご配慮いただき」
依頼に応じてもらった
→「ご対応いただき」
などと表現できます。
「便宜を図っていただき」は使える表現ですが、ビジネスでは具体的な内容に合わせて言い換えることで、より伝わりやすい文章になります。
特にメールでは、相手に何をしてもらったのかを明確にすると、感謝の内容も伝わりやすくなります。
「便宜を図る」をビジネスメールで使う場合
「便宜を図る」は、ビジネスメールでも使える表現です。
特に、相手がこちらの事情を考えて日程を変更してくれたり、手続きを進めやすいよう対応してくれたりした場合に、感謝を伝える表現として使えます。
たとえば、
「このたびは便宜を図っていただき、誠にありがとうございました。」
のような使い方です。
ただし、ビジネスメールでは、相手が何をしてくれたのかを具体的に書いたほうが、内容が正確に伝わります。
「便宜を図る」を使うこと自体は問題ありませんが、具体的な表現のほうが適している場合もあることを覚えておきましょう。
お礼のメールで使う場合
相手から配慮や調整をしてもらった場合は、「便宜を図っていただき」を使って感謝を伝えることができます。
たとえば、
「このたびは弊社の事情に便宜を図っていただき、誠にありがとうございました。」
「急なお願いにもかかわらず、便宜を図っていただき、心より御礼申し上げます。」
などです。
何らかの配慮を受けたこと全体について感謝を伝える場合には、このような表現が使えます。
一方、相手がしてくれたことが明確なら、具体的に書く方法もあります。
「日程をご調整いただき、誠にありがとうございました。」
「こちらの事情にご配慮いただき、心より御礼申し上げます。」
こちらのほうが、何に対して感謝しているのかが相手にも伝わりやすくなります。
日程変更へのお礼なら「ご調整いただき」がわかりやすい
会議や面談などの日程を変更してもらった場合は、「便宜を図っていただき」より「ご調整いただき」とするほうが具体的です。
たとえば、
「会議の日程について便宜を図っていただき、ありがとうございました。」
でも意味は伝わりますが、
「会議の日程をご調整いただき、ありがとうございました。」
とすれば、感謝している内容がすぐにわかります。
また、
「弊社の都合に合わせて日程をご調整いただき、誠にありがとうございます。」
のように、相手がどのような対応をしてくれたのかを加えてもよいでしょう。
手続きへの対応なら「お取り計らいいただき」「ご対応いただき」
手続きや仕事上の処理について便宜を図ってもらった場合は、「お取り計らいいただき」や「ご対応いただき」と言い換えることができます。
たとえば、
「手続きについて便宜を図っていただき、ありがとうございました。」
を、
「手続きについてお取り計らいいただき、ありがとうございました。」
とすることができます。
また、相手がこちらの依頼に応じてくれたことを広く表現するなら、
「早急にご対応いただき、ありがとうございました。」
なども自然です。
ビジネスメールでは、相手が行った対応に合った言葉を選ぶことが大切です。

相手の事情に合わせて具体的な対応をする場面では、「便宜を図る」という表現が使えます。
社内メールではわかりやすい表現にする
社内メールでも「便宜を図る」は使えますが、日常的な連絡では少し堅く感じられることがあります。
たとえば、
「参加者の便宜を図るため、研修の開始時間を変更します。」
でも問題ありませんが、
「参加者が出席しやすいよう、研修の開始時間を変更します。」
としたほうが、簡潔でわかりやすい場合があります。
同じように、
「社員の便宜を図るため、申請方法を変更します。」
より、
「社員が申請しやすいよう、申請方法を変更します。」
とすると、変更の目的が直接伝わります。
社内メールでは、改まった表現にすることよりも、読んだ人がすぐに内容を理解できることを優先するとよいでしょう。
ビジネスメールでは「便宜を図る」を曖昧な依頼にしない
お礼として「便宜を図っていただき」を使うことはできますが、相手への依頼では注意が必要です。
たとえば、
「本件につきまして、便宜を図っていただけますでしょうか。」
だけでは、相手は何を求められているのかわからない可能性があります。
日程を変更してほしいのであれば、
「打ち合わせの日程をご調整いただくことは可能でしょうか。」
手続きについて対応してほしいのであれば、
「○日までにお手続きいただくことは可能でしょうか。」
など、具体的に伝えたほうがわかりやすくなります。
ビジネスメールでは、「便宜を図ってほしい」と抽象的に依頼するより、何をしてほしいのかを具体的に書くことが重要です。
次の章では、相手に便宜を図ってもらいたい場合に、どのような表現でお願いすると自然なのかを詳しく見ていきましょう。
「便宜を図ってほしい」とお願いするときの表現
ビジネスでは、相手に何らかの配慮や調整をお願いしたい場面があります。
その場合、「便宜を図ってください」「便宜を図っていただけますか」と表現することも考えられますが、「便宜を図る」は意味の範囲が広いため、何をしてほしいのかが伝わりにくいことがあります。
特に取引先や目上の人への依頼では、「便宜を図ってほしい」と抽象的に伝えるより、具体的な依頼内容を丁寧に伝えるほうがわかりやすくなります。
日程の変更なら「ご調整いただけますでしょうか」、事情への配慮なら「ご配慮いただけますと幸いです」のように、目的に合わせて表現を選びましょう。
「便宜を図ってください」は意味が曖昧になりやすい
「便宜を図ってください」は、相手に配慮や対応を求める表現です。
しかし、
「本件につきまして、便宜を図ってください。」
だけでは、相手は具体的に何をすればよいのか判断しにくいでしょう。
日程を変更してほしいのか、手続きを早めてほしいのか、利用方法を変更してほしいのかが明確ではないからです。
そのため、ビジネスでは、
「打ち合わせの日程をご調整いただけますでしょうか。」
「申請方法についてご対応をご検討いただけますでしょうか。」
など、依頼内容を具体的に伝えるほうが適しています。
日程や時間の変更なら「ご調整いただけますでしょうか」
会議や面談などの日程について便宜を図ってほしい場合は、「調整する」を使うと内容が明確になります。
たとえば、
「弊社の都合に便宜を図っていただけますでしょうか。」
とするより、
「恐れ入りますが、打ち合わせの日程をご調整いただけますでしょうか。」
としたほうが、相手に何をお願いしているのかがはっきりします。
さらに希望日が決まっているなら、
「恐れ入りますが、打ち合わせを○日に変更していただくことは可能でしょうか。」
のように、具体的な内容まで示すとわかりやすくなります。
事情を考慮してほしいなら「ご配慮いただけますと幸いです」
こちらの事情を考慮して対応してほしい場合は、「ご配慮いただけますと幸いです」が使えます。
たとえば、
「弊社の事情に便宜を図っていただければ幸いです。」
という表現を、
「弊社の事情にご配慮いただけますと幸いです。」
と言い換えることができます。
「ご配慮いただけますと幸いです」は、相手に事情を考慮してほしいことを丁寧に伝える表現です。
ただし、何を配慮してほしいのかまで具体的に書ける場合は、その内容も添えるとさらに伝わりやすくなります。
対応をお願いするなら「ご対応いただけますでしょうか」
相手に具体的な処理や対応をお願いする場合は、「ご対応いただけますでしょうか」と表現できます。
たとえば、
「本件について便宜を図っていただけますでしょうか。」
より、
「本件につきまして、ご対応いただけますでしょうか。」
としたほうが、依頼の内容がわかりやすくなる場合があります。
さらに、
「○日までにご確認いただけますでしょうか。」
「受け取り方法の変更について、ご対応いただけますでしょうか。」
など、求める行動を示せば、より明確な依頼になります。
「お取り計らいいただけますと幸いです」も使える
物事がうまく進むよう相手に対応をお願いする場合は、「お取り計らいいただけますと幸いです」という表現も使えます。
たとえば、
「本件につきまして、お取り計らいいただけますと幸いです。」
のような形です。
「取り計らう」には、事情を考慮しながら物事がうまく進むよう処理するという意味があるため、改まった依頼にも使われます。
ただし、「お取り計らい」も比較的意味の広い表現です。
具体的に何をしてほしいのかを伝えられる場合は、「日程をご調整いただけますと幸いです」「必要な手続きをお願いいたします」などのほうが明確です。
相手にお願いするときは具体的な内容を伝える
「便宜を図る」は、自分側の対応を説明したり、相手から受けた配慮について述べたりするときには便利な表現です。
一方、相手へのお願いでは、何をしてほしいのかが曖昧になることがあります。
| お願いしたい内容 | 表現例 |
|---|---|
| 日程や時間を変えてほしい | ご調整いただけますでしょうか |
| 事情を考慮してほしい | ご配慮いただけますと幸いです |
| 何らかの対応をしてほしい | ご対応いただけますでしょうか |
| 物事が進むよう処理してほしい | お取り計らいいただけますと幸いです |
ビジネスで依頼するときは、「便宜を図ってほしい」という言葉を丁寧にすることよりも、相手に何をお願いしたいのかを明確にすることが重要です。
具体的な内容を示したうえで丁寧な表現を選ぶと、相手にも意図が伝わりやすくなります。
「便宜を図る」のビジネスでの言い換え
「便宜を図る」はビジネスでも使える表現ですが、場面によっては「ご配慮いただく」「お取り計らいいただく」「ご調整いただく」「ご対応いただく」などに言い換えると、より具体的で自然な文章になります。
特にメールや取引先とのやり取りでは、「便宜を図る」という言葉をそのまま使うことよりも、相手が何をしてくれたのか、何をお願いしたいのかを明確にすることが大切です。
ビジネスでの言い換えは、実際の配慮や対応の内容に合わせて選ぶとよいでしょう。
主な表現を整理すると、次のようになります。
| 言い換え | 適した場面 |
|---|---|
| ご配慮いただく | こちらの事情や状況を考慮してもらう |
| お取り計らいいただく | 物事がうまく進むよう処理してもらう |
| ご調整いただく | 日程・時間・条件などを変更してもらう |
| ご対応いただく | 依頼や事情に応じて対応してもらう |
| ご協力いただく | 仕事や手続きを進めるために協力してもらう |
事情を考慮してもらった場合は「ご配慮いただく」
相手がこちらの事情や状況を考えて対応してくれた場合は、「ご配慮いただく」が使えます。
たとえば、
「弊社の事情に便宜を図っていただき、ありがとうございました。」
は、
「弊社の事情にご配慮いただき、ありがとうございました。」
と言い換えられます。
「便宜を図る」よりも、相手の気遣いや配慮に対して感謝していることが伝わりやすい表現です。
手続きや処理なら「お取り計らいいただく」
仕事や手続きがうまく進むよう対応してもらった場合は、「お取り計らいいただく」が適しています。
たとえば、
「本件について便宜を図っていただき、ありがとうございます。」
を、
「本件についてお取り計らいいただき、ありがとうございます。」
と言い換えられる場合があります。
「お取り計らいいただく」は改まった表現なので、取引先などへの丁寧な文章にも使えます。
ただし、何をしてもらったのかを具体的に書ける場合は、その内容を直接示したほうがわかりやすいこともあります。
日程や時間なら「ご調整いただく」
会議、面談、訪問などの日程や時間を変更してもらった場合は、「ご調整いただく」がわかりやすい表現です。
たとえば、
「打ち合わせの日程について便宜を図っていただき、ありがとうございました。」
より、
「打ち合わせの日程をご調整いただき、ありがとうございました。」
としたほうが、何に対する感謝なのかが明確になります。
具体的な対応が「調整」であるなら、そのまま「ご調整いただく」と表現するのが自然です。
依頼に応じてもらった場合は「ご対応いただく」
相手がこちらの依頼に応じてくれた場合は、「ご対応いただく」が幅広く使えます。
たとえば、
「急なお願いにもかかわらず、便宜を図っていただきありがとうございました。」
は、
「急なお願いにもかかわらず、ご対応いただきありがとうございました。」
と言い換えることができます。
「ご対応いただく」は、具体的な対応内容を細かく説明しなくても使いやすいため、ビジネスメールでも便利な表現です。
協力してもらった場合は「ご協力いただく」
相手が仕事や計画を進めるために協力してくれた場合は、「ご協力いただく」が適しています。
たとえば、
「業務を円滑に進めるため便宜を図っていただき、ありがとうございました。」
という文章でも、実際には相手の協力に対して感謝しているのであれば、
「業務を円滑に進めるため、ご協力いただきありがとうございました。」
と表現できます。
「便宜を図る」と「協力する」は同じ意味ではありませんが、何に感謝しているのかによっては、このような言い換えが自然です。
ビジネスでは一つの言葉に置き換えようとしない
「便宜を図る」には、配慮、調整、対応など幅広い意味が含まれています。
そのため、ビジネスで言い換えるときに、すべての場面で使える一つの類語を探す必要はありません。
事情への配慮なら「ご配慮いただく」、日程変更なら「ご調整いただく」、依頼への対応なら「ご対応いただく」というように、実際に行われたことを具体的に表現するほうが伝わりやすくなります。
「便宜を図る」の一般的な言い換えや、「配慮する」「取り計らう」「融通を利かせる」などとの違いについては、別の記事で詳しく紹介しています。

多くの利用者が仕事を進めやすいよう、時間や方法を調整することも「便宜を図る」に含まれます。
「便宜を図る」のビジネス例文10選
「便宜を図る」は、取引先への配慮や日程調整、顧客への対応など、さまざまなビジネス場面で使えます。
また、相手から配慮を受けた場合には、「便宜を図っていただき」「便宜を図ってもらう」という形でも使われます。
ここでは、実際の仕事で使う場面を想定した例文を10個紹介します。
例文1|取引先への配慮
「遠方から来社される取引先の便宜を図り、会議の開始時間を午後に変更しました。」
相手が移動しやすいよう時間を変更した場面です。
「便宜を図る」の基本的な使い方の一つです。
例文2|顧客への対応
「顧客の便宜を図るため、商品の受け取り方法を複数用意しました。」
顧客が利用しやすくなるよう、選択肢を増やした場面です。
企業のサービス改善などを説明するときにも使えます。
例文3|利用者への配慮
「利用者の便宜を図り、各種手続きをオンラインでも行えるようにしました。」
施設やサービスなどを利用しやすくするため、仕組みを変更した例です。
この場合は「利用者が手続きしやすいよう」と言い換えることもできます。
例文4|社内での対応
「各支店の社員の便宜を図るため、研修をオンラインでも受講できるようにしました。」
社員が参加しやすくなるよう、会社側が方法を変更した場面です。
社内文書などでも使える表現です。
例文5|日程を調整してもらった場合
「弊社の都合に合わせて便宜を図っていただき、誠にありがとうございました。」
取引先などがこちらの事情を考慮して日程を調整してくれた場合に使えます。
ただし、日程変更へのお礼であることが明確なら、
「弊社の都合に合わせて日程をご調整いただき、誠にありがとうございました。」
としたほうが具体的です。
例文6|急な依頼に対応してもらった場合
「急なお願いにもかかわらず、便宜を図っていただき、心より御礼申し上げます。」
相手がこちらの事情を考えて対応してくれたことへの感謝を表しています。
具体的な対応内容がわかっている場合は、「ご対応いただき」などに言い換えることもできます。
例文7|手続きについて配慮してもらった場合
「手続きに際して便宜を図っていただき、ありがとうございました。」
手続きを進めやすいよう相手に対応してもらった場面です。
内容によっては、
「手続きに際してお取り計らいいただき、ありがとうございました。」
と表現することもできます。
例文8|勤務する社員への配慮
「交代勤務の社員の便宜を図るため、説明会を複数回開催することにしました。」
勤務時間が異なる社員でも参加できるよう、会社側が対応した例です。
「社員が参加しやすいよう」とすると、よりやわらかい表現になります。
例文9|取引先への依頼
「納品日につきまして、ご調整いただくことは可能でしょうか。」
相手に「便宜を図ってほしい」場面ですが、あえて「便宜を図る」を使わず、依頼内容を具体的にしています。
ビジネスでは、
「納品日について便宜を図っていただけますでしょうか。」
とするより、何をお願いしたいのかを直接伝えたほうが明確です。
例文10|事情への配慮をお願いする場合
「弊社の事情をご考慮のうえ、ご配慮いただけますと幸いです。」
こちらも「便宜を図ってほしい」という意図を、より具体的な表現にした例です。
「便宜を図る」は相手から受けた配慮を説明する場合には便利ですが、依頼する場合は「ご配慮いただけますと幸いです」などにすると意図が伝わりやすくなります。
「便宜を図る」は場面に応じて具体的な表現と使い分ける
ビジネスで「便宜を図る」を使う場合は、自分側が相手に配慮するときと、相手から配慮してもらったときで表現が変わります。
自分側の対応なら、
「取引先の便宜を図る」
「利用者の便宜を図る」
などと表現できます。
相手から配慮してもらった場合は、
「便宜を図っていただき、ありがとうございます。」
などが使えます。
一方、相手に何かをお願いする場合は、「便宜を図ってほしい」とするより、日程・手続き・対応など具体的な依頼内容を伝えるほうが、ビジネスではわかりやすいでしょう。
「便宜を図る」のビジネス・敬語での使い方まとめ
「便宜を図る」は、相手が物事を進めやすいように配慮したり、必要な調整や対応をしたりすることを表す言葉です。
やや改まった表現ですが、取引先への配慮、顧客への対応、日程の調整、社内での制度変更など、ビジネスでも使うことができます。
ポイントをまとめると、次のようになります。
| ポイント | 使い方 |
|---|---|
| ビジネスで使える? | 使える。やや改まった表現 |
| 便宜を図っていただき | 相手から配慮を受けたことを丁寧に表せる |
| メールでの使用 | 使えるが、具体的な内容を示すとより明確 |
| 相手へのお願い | 「便宜を図ってほしい」より具体的な依頼内容を伝える |
| 主な言い換え | ご配慮いただく・お取り計らいいただく・ご調整いただく・ご対応いただく |
「このたびは便宜を図っていただき、ありがとうございました」のように、相手から受けた配慮への感謝を伝えることもできます。
ただし、日程を変更してもらったのであれば「日程をご調整いただき」、事情を考慮してもらったのであれば「ご配慮いただき」としたほうが、何に感謝しているのかが明確です。
また、相手にお願いするときは、
「便宜を図っていただけますでしょうか。」
と曖昧に伝えるより、
「日程をご調整いただけますでしょうか。」
「ご配慮いただけますと幸いです。」
など、具体的に何をしてほしいのかを示すことが大切です。
「便宜を図る」は幅広い配慮や対応を表せる便利な言葉だからこそ、ビジネスでは場面に合わせた使い分けが求められます。
改まった表現が適した場面では「便宜を図る」を使い、具体性を重視する場面では「調整する」「配慮する」「対応する」などを選ぶと、相手に意図が伝わりやすくなるでしょう。
※記事内の人物画像はAIで生成したイメージです。実在の人物とは関係ありません。


















